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『シッコ SiCKO』感想。人の命を金勘定してはならない。長谷川豊の患者自己責任論は間違っている

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『シッコ SiCKO』観た。よくできたドキュメンタリー映画で非常に勉強になった。今回はその感想をば。

  

この映画には、たくさんの被害者が出てくる。自分で自分の傷を縫う人、取れてしまった指を戻せなかった人、家を手放さなくてはならなくなった人、老後になっても働く人、保険に入れなかった人、入れても治療してくれなかった人。そして極め付けは、治療を断れた末に、死んでしまった幼児。

 

なぜこのようにたくさんの被害者が出てしまうのだろうか。

 

答えは簡単だ。人の命を金勘定しているからだ。

そのことを如実に表しているのが、保険会社が医者に治療をさせないことで、儲けているというシーンだろう。

ここでは、優秀な医長とは、保険会社に儲けさせる医者のことであるという。なんと審査の10パーセントは否認しなければならない、という決まりがあるのだが、これは普通に考えておかしいだろう。さらに、もっとも高い否認率を出した医者にボーナスを出す、なんて言うのは言語道断だ。ここには医者が仕事をしなければしないほど、儲かるという負のインセンティブが働いてしまっている。審査は治療が必要かどうかで判断されるべきで、儲かるかどうかで判断してはいけない。

保険給付が医療損失という専門用語が使われ、契約者に保険金を払わないことで、利益を得ている。保険会社が金儲けのことしか考えていないことは明らかだ。

治療を拒否された挙句に、夫を亡くした人のインタビューなどは、思わず涙を流し、怒りが湧いてくる。あまりに酷すぎる。

 

それに対して、アメリカとは対称的に、医療が無料なカナダ、イギリス、フランス、キューバの取材などが取材では出てくる。とりわけ、イギリスでは、患者が健康になれば、ボーナスが出るという正のインセンティブが働いているという。これによって医者の本分を全うできる。これこそがあるべき姿だろう。アメリカでは審査を拒否することに、良心の呵責を覚え、保険会社がやってきたことを告発する医者が出てきたが、こんなことはあってはならない。

 

ではなぜ人の命を金勘定しているのだろうか。

 

これも答えは簡単だ。それが資本主義だからだ。

資本主義は全てのものが金に変えることができる社会だ。『シッコ SiCKO』において、資本主義が医療を向上させ、社会主義では逆に衰退してしまう、といった言説がプロパガンダによって洗脳されてしまう、といったシーンがあった。誰もが健康保険に入れるように、ヒラリークリントンが推進したが、政治家と企業の利権のために、封じられたという歴史的背景があったという。

 そして利権と既得権益を得ている彼らは決まって、貧乏なのは自己責任で、だから医療費が払えないのは自己責任だとする。強者が、弱者を搾取している構図が明らかなのを知った上でだ。

 

翻って、日本を考えてみると、長谷川豊の透析患者は自己責任なのだから殺せ、という発言を、僕は自己責任と聞くと、思い出す。

そもそも、憲法によって基本的人権が守られているのだから、自己責任以前の問題として、それは憲法違反である。仮にその論法を貫き通したいのであれば、憲法改正を試みるのがいいだろう。ま、僕はそんな憲法は絶対に嫌だから、やったとしたら全力で反対するが。

人間が人間らしい生活をするうえで、生まれながらにしてもっている権利を、基本的人権といいます。日本国憲法では、「基本的人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」によって確立されたものであり、「侵すことのできない永久の権利」として保障しています。  

基本的人権の尊重

 この理念には誰もが賛同するだろう。そしてこの理念を実行するために動くのが国家であり、政治である。教育や医療や防衛や治安など、公共の利益のために貢献するという大義を執行するという契約のもとで、国民は税金を払う。それは利益のためならば何だってやる企業ではできないことだ。

医療は受けれるかどうかは自己責任である、ということが議論として出てくること自体が、いつの間にか経済効率の論理が全てに優先する社会になっているということの証拠である。だから政治家は理念のためではく、私利私欲のために金で買収され、税金が国民の幸福のためにではなく、社会的な強者の懐へと入ってく。こうして格差はますます開くことになる。

 

この流れを止めるためにはどうすればいいだろうか。

 

これも答えは簡単だ。そのための民主主義である。

かつて資本家たちが金によって、権力を持ち始めた時、その抑止力となったのは、公共の利益のために働く政治家であり、その政治家を選ぶ投票権だった。だから社会的な弱者ほど、どの政治家が公共の利益のために働いてくれるのかを判断する審美感が必要になる。

しかし現状、その審美眼は腐っていると言わざるえないだろう。なぜなら、今選ばれる政治家とはタレントのことを指すからだ。仕事ができるかではなく、自分が好きかで判断する大衆に、僕なんぞはかなり絶望している。

この問題は解決するためには、大衆に啓発と啓蒙を促すことを地道に続けることだろう。つまり“Stay hungry. Stay foolish.”―「貪欲であれ。愚直であれ」ってこと。ま、hungryはともかくとして、foolishは普通にwiseでいいと思うよ。foolishが許されるのは大天才だけだろう。大衆の皆様は"Stay wise"「普通に賢くなれや」って話だ。

 

じゃあそのためにどうすればいいか。

 

これも簡単、……だと思う……多分。

まずはテレビを見るのを止めるところから。そして本を読もうね、と搾取される大衆の一人たる僕なんぞはアドバイスするよ。

 

そんなことを『シッコ SiCKO』を観て考えました。

 

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 テレビを見るとアホになります。

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意識TAKEEEEE!!なミーハー本でもいいから、活字を読む習慣をつけましょう。